フィルムなどの感光材は,光があたると化学変化がおこる。そのような変化がおこったところに薬品で処理をすることで,像として固定される。最終的に,光が強くあたったところはに明るい像が,光があまりあたらなかったところには暗い像が得られるようになっている。光のあたる強さが,感光材に対して適切だったとき,そこにきれいな像が得られることになる。 写真を撮るときには,ピントと露出の調整が必要だ。ピントの調整が悪いと,像がぼんやりしたものになってしまう(ピンボケ)。露出の調整が悪いと,フィルムに写った像が明るすぎたり暗すぎたりして,良好なプリントを得ることができない。
露出の調整は,レンズの明るさ(絞り)と,感光材に光があたる時間(シャッター速度)を選択することでおこなう。レンズを明るくすれば(絞りを開けば),その分だけ光があたる時間を短く(シャッター速度を速く)することで,同じ露出をあたえられる。このようにして,絞りやシャッター速度の効果を生かしたさまざまな表現も可能になっている。 レンズの明るさは,レンズの光が通過する部分の面積に比例する。すなわち,光が通過する部分の口径の2乗に比例する。レンズの絞りの値は,口径の比の逆数で表現される。1.4,2,2.8,4,・・・という数列が記されているが,√2の等比数列をあらわしていることに気がつくだろう。この数列上で,1つ数値が大きくなることは,レンズを通過する光の量が1/2になることを意味する。 光があたる時間も,逆数であらわされていることが多い(125とあれば,それは/125秒を意味する)。この値もたとえば,1000,500,250,125,60,・・・のように,2の等比数列になっていることが多いことに気がつくだろう。 一般に,絞りの値を1つ大きくすると同時に,シャッター速度の値を1つ小さくすれば,フィルムにあたる光の量は,同じことになる。
ピントは,ピントグラスに写る像を見れば,十分に確認できる。しかし,露出は絶対的な基準がわからない,かつて露出の決定には,十分な「経験」と「勘」が必要だった。このため,素人がきれいな写真を撮ることは困難だった。 安定した性能の感光材が供給されるようになると,露出の「基準」が知られるようになってきた。古い写真雑誌などには,「露出表」として,その月の天候や時刻などによる「基準露光」が紹介されていたりしたものである。また,その内容を「計算盤式露出計」として携帯しやすく参照しやすいようにまとめたものも,製品として流通した。 それにしても,露出の決定にはある程度の「慣れ」と「勘」が必要だったことはいうまでもない。
セレン光電池という素子は,光があたることで電力を発生するものである。これと微小な電流に反応する指針とを組み合わせて,明るさを定量的に示すことのできる装置が登場した。これは「電気露出計」とよばれた。 その後,セレン光電池よりも性能のよいセンサが開発され,露出計の性能は向上している。カメラに内蔵されるようになり,さらに扱いやすいものになっている。 ただし,それでも「自分が意図する露出」を与えるためには,「経験」と「勘」が必要なことは,言うまでもない。
電気露出計 1980年代以降
電気露出計 1970年代
電気露出計 1960年代
電気露出計 1950年代
電気露出計 1940年代およびそれ以前
一般的なスチル写真用ではない電気露出計
電気露出計というものを使えば,露出の基準値は容易に得られる。しかし,1950年代くらいまで,電気露出計は高価なものであった。そのころまではカメラ雑誌に,その月の「露光ガイド」というページが設けられており,何時ころのどんな場面であればどれくらいの露出が基準になるかの目安が示されていた。フィルムのパッケージなどにも露出の目安が示されているが,それよりもずっと細かくていねいなものである。
計算盤式露出計
雑誌の「露光ガイド」くらいの詳しい内容を,たとえば円盤状にまとめて携帯しやすくした露出計算盤というものや,直線の計算尺状にした露出計算尺というものがあった。必ずしも使いやすいとはかぎらないが,電気露出計にくらべればきわめて安価で流通していた。また,かさばることもない。さまざまな「露出計」が発売されていた。
濃度式(光学式)露出計
濃度式露出計は,光学式露出計とよばれることもある。これは濃度の異なる数字が書かれているうち,「ぎりぎり見える」数字を読み取って露出の基準を決めるものである。電源が不要でかさばらないというメリットはあるが,実際の使用にはかなりの慣れが必要だと思われる。
露出とは
フィルムなどの感光材は,光があたると化学変化がおこる。そのような変化がおこったところに薬品で処理をすることで,像として固定される。最終的に,光が強くあたったところはに明るい像が,光があまりあたらなかったところには暗い像が得られるようになっている。光のあたる強さが,感光材に対して適切だったとき,そこにきれいな像が得られることになる。
写真を撮るときには,ピントと露出の調整が必要だ。ピントの調整が悪いと,像がぼんやりしたものになってしまう(ピンボケ)。露出の調整が悪いと,フィルムに写った像が明るすぎたり暗すぎたりして,良好なプリントを得ることができない。
絞り値とシャッター速度
露出の調整は,レンズの明るさ(絞り)と,感光材に光があたる時間(シャッター速度)を選択することでおこなう。レンズを明るくすれば(絞りを開けば),その分だけ光があたる時間を短く(シャッター速度を速く)することで,同じ露出をあたえられる。このようにして,絞りやシャッター速度の効果を生かしたさまざまな表現も可能になっている。
レンズの明るさは,レンズの光が通過する部分の面積に比例する。すなわち,光が通過する部分の口径の2乗に比例する。レンズの絞りの値は,口径の比の逆数で表現される。1.4,2,2.8,4,・・・という数列が記されているが,√2の等比数列をあらわしていることに気がつくだろう。この数列上で,1つ数値が大きくなることは,レンズを通過する光の量が1/2になることを意味する。
光があたる時間も,逆数であらわされていることが多い(125とあれば,それは/125秒を意味する)。この値もたとえば,1000,500,250,125,60,・・・のように,2の等比数列になっていることが多いことに気がつくだろう。
一般に,絞りの値を1つ大きくすると同時に,シャッター速度の値を1つ小さくすれば,フィルムにあたる光の量は,同じことになる。
適切な露出をどうやって知るか
ピントは,ピントグラスに写る像を見れば,十分に確認できる。しかし,露出は絶対的な基準がわからない,かつて露出の決定には,十分な「経験」と「勘」が必要だった。このため,素人がきれいな写真を撮ることは困難だった。
安定した性能の感光材が供給されるようになると,露出の「基準」が知られるようになってきた。古い写真雑誌などには,「露出表」として,その月の天候や時刻などによる「基準露光」が紹介されていたりしたものである。また,その内容を「計算盤式露出計」として携帯しやすく参照しやすいようにまとめたものも,製品として流通した。
それにしても,露出の決定にはある程度の「慣れ」と「勘」が必要だったことはいうまでもない。
誰にも使える電気露出計
セレン光電池という素子は,光があたることで電力を発生するものである。これと微小な電流に反応する指針とを組み合わせて,明るさを定量的に示すことのできる装置が登場した。これは「電気露出計」とよばれた。
その後,セレン光電池よりも性能のよいセンサが開発され,露出計の性能は向上している。カメラに内蔵されるようになり,さらに扱いやすいものになっている。
ただし,それでも「自分が意図する露出」を与えるためには,「経験」と「勘」が必要なことは,言うまでもない。
電気露出計 1980年代以降
セコニック デジライトF L-328
SEKONIC / Digilite F L-328
(1988) (単3形 1.5V電池 1個)
ミノルタ スポットメーターM
MINOLTA / SPOTMETER M
(1981) (単3形 1.5V電池 1個)
電気露出計 1970年代
ベウイ ズームスポット
Bertram / BEWI ZOOMSPOT
(1977) (PX-27 5.6V水銀電池 1個)
セコニック スタジオデラックス L-398
SEKONIC / Studio Deluxe L-398
(1976)
ミノルタ フラッシュメーターII
MINOLTA / FLASHMETER II
(1975) (006P 9V電池 1個)
ウエストン ユーロマスター モデルS461-6
WESTON / Euro-Master Model S461-6
(1974)
セコニック スタジオデラックス L-28c2
SEKONIC / Studio Deluxe L-28c2
(1971)
電気露出計 1960年代
セコニック アペックス L-218
SEKONIC / APEX L-218
(1968) (H-D(MR9) 1.35V水銀電池 1個)
セコニック オートリーダーIII L-162
SEKONIC / AUTO LEADER 3 model L-162
(1966?)
セコニック スタジオデラックス L-28c
SEKONIC / Studio Deluxe L-28c
(1966)
セコニック マスター L-104
SEKONIC / MASTER L-104
(1963)
ゴッセン ルナシックス(新型)
GOSSEN / Lunasix
(1963?)
セコニック オートリーダーII L-99
SEKONIC / AUTO LEADER II model L-99
(1962?)
ゴッセン ルナシックス
GOSSEN / Lunasix
(1961)
セコニック マイクロライト L-88
SEKONIC / Microlitemodel L-88
(1960.12)
セコニック オートルミ L-86
SEKONIC / AUTO LUMI model L-86
(1960?)
電気露出計 1950年代
セコニック オートリーダー L-38
SEKONIC / AUTO LEADER L-38
(1959?)
ワルツ マイティ・スター
WALZ / MIGHTY STAR
(1959)
セコニック スタジオS
SEKONIC / Studio S
(1958)
セコニック クリップオンLC-2
SEKONIC / Clip-on LC-2
(1957)
ワルツ コロネットBII
WALZ / CORONET B model-II
(1957)
ブロックウェイ ノーウッド・ディレクター モデルS
BROCKWAY / NORWOOD DIRECTOR model S
(1957?)
セコニック21
SEKONIC / model 21
(1956?)
ウエストン マスターIII モデル737
WESTON / Master III Model-737
(1956?)
セコニック ディレクター L-8
SEKONIC / LEADER DELUXE L-8
(1956)
セコニック プロフェッショナル L-3b
SEKONIC / TYPE L-3b
(1956)
ワルツ スーパーU
WALZ / SUPER EXPOSURE METER II
(1954)
ワルツ エタロン
WALZ / EXPOSURE METER type Etalon
(1953)
サモカ オートマット電気露出計
SAMOCA / AUTOMAT EXPOSURE METER
(1953?)
ワルツ スーパー露出計
WALZ / SUPER EXPOSURE METER model E-11
(1951)
ウエストン マスターII モデル735
WESTON / Master II Model-735
(1950?)
電気露出計 1940年代およびそれ以前
セコニック L-1
SEKONIC / L-1
(1949?)
ノーウッド・ディレクター モデルC
DIRECTOR PRODUCTS / NORWOOD DIRECTOR model C
(1949?)
ゼネラル・エレクトリック PR-1
General Electric (GE) / Exposure Meter type PR-1
(1948)
ウエストン ユニバーサル モデル650
WESTON / Universal model 650
(1935)
一般的なスチル写真用ではない電気露出計
ワルツ ムービーメーター
WALZ / Movie Meter
(1957)
東芝 7号形光電池照度計
TOSHIBA / Illuminometer Type 7
(1953)
電気を使わない露出計
電気露出計というものを使えば,露出の基準値は容易に得られる。しかし,1950年代くらいまで,電気露出計は高価なものであった。そのころまではカメラ雑誌に,その月の「露光ガイド」というページが設けられており,何時ころのどんな場面であればどれくらいの露出が基準になるかの目安が示されていた。フィルムのパッケージなどにも露出の目安が示されているが,それよりもずっと細かくていねいなものである。
計算盤式露出計
雑誌の「露光ガイド」くらいの詳しい内容を,たとえば円盤状にまとめて携帯しやすくした露出計算盤というものや,直線の計算尺状にした露出計算尺というものがあった。必ずしも使いやすいとはかぎらないが,電気露出計にくらべればきわめて安価で流通していた。また,かさばることもない。さまざまな「露出計」が発売されていた。
関式サロン露出計 IIIA型
SEKI'S SALON EXPOSURE METER MODEL III-A
(1954)
関式サロン露出計 IIB型(ウエストン対応版)
SEKI'S SALON EXPOSURE METER MODEL II-B (version 3)
(1953)
関式サロン露出計 IIB型(サマータイム非対応版)
SEKI'S SALON EXPOSURE METER MODEL II-B (version 2)
(1952)
関式サロン露出計 IIB型(サマータイム対応版)
SEKI'S SALON EXPOSURE METER MODEL II-B (version 1)
(1951)
関式サロン露出計 IIA型
SEKI'S SALON EXPOSURE METER MODEL II-A
(1950)
関式サロン露出計 (新型) ※借り物
SEKI'S SALON EXPOSURE METER (new)
(1940)
関式サロン露出計 (初期型)
SEKI'S SALON EXPOSURE METER
(1938)
濃度式(光学式)露出計
濃度式露出計は,光学式露出計とよばれることもある。これは濃度の異なる数字が書かれているうち,「ぎりぎり見える」数字を読み取って露出の基準を決めるものである。電源が不要でかさばらないというメリットはあるが,実際の使用にはかなりの慣れが必要だと思われる。
プラクトス ジュニア
Practos Junior
(1925?〜1930?)