玄光社

関式サロン露出計 IIA型

SEKI'S SALON EXPOSURE METER MODEL II-A

 「関式サロン露出計」は,日本国内における計算盤式露出計としてポピュラーなものの1つである。これは大きく,第二次世界大戦前からの丸型と第二次世界大戦後の角型の2つに分けられる。そして,丸型,角型ともに,さらに複数のモデルに分けることができる。
 このIIA型は,戦後の角型として,さいしょのモデルになる。このモデルでは,裏面の「時刻注意」欄に「C.”サンマータイム”採用中は時計の時刻から1時間を減じて本時刻を見ること。」という表記がされていることが,大きな特徴である(右上の画像を参照)。

「関式サロン露出計」のおおまかな分類
形式モデル名特徴発売時期
丸型(戦前型)南樺太や台湾などの地名あり1939年ころ?
丸型(戦後型)サマータイム対応1948年ころ?
角型MODEL II-Aサマータイム対応1950年〜1951年ころ
角型MODEL II-B計算盤の内容に複数のバージョンあり1952年ころ?
角型MODEL III-Aシンクロ撮影に関する「独自の新考案」1954年8月ころ

 日本では戦後の一時期,「サマータイム」という制度が導入されていた(当時の表記は「サンマータイム」)。「サマータイム」とは,夏季には時計の針を1時間進めて長い昼間を有効に使おうという制度で,北アメリカやヨーロッパでは多くの国でこの制度が実施されている。日本では具体的には,1948年4月28日に成立した「夏時刻法」の定めにしたがって1948年5月1日から実施され,1952年4月11日に「夏時刻法を廃止する法律」が成立して廃止された。「サマータイム」が継続しなかった理由としては「過労」「睡眠不足」「子どもが寝つかない」などの批判があったほか,アメリカやヨーロッパにくらべて低緯度で湿度も高い日本の気候には適したものではないという見解もある(「サマータイムと気象」朝倉正,日本気象協会発行「気象」1989年8月号による)。
 「関式サロン露出計」の広告を「アサヒカメラ」で追ってみると,1950年8月号では戦前からの丸型のものの写真が掲載されており,1951年5月号ではこの角型の写真に変わっている。そのことから,ここで紹介する関式サロン露出計IIA型の発売は,1950年秋ころから1951年春ころまでの間であると判断できる。ちょうど,サマータイムが実施されている期間であることとも,整合する。
 なお丸型でも,戦前に発売されたと思われるもののほかに,サマータイムに対応したものの存在が確認できている。1950年8月号で広告されていたものは,そのサマータイムに対応した丸型のものだろう。

▼日本でのサマータイムに関する法律

◎夏時刻法 (法律第二十九号(昭二三・四・二八))
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/00219480428029.htm

第一条 毎年、四月の第一土曜日の午後十二時から九月の第二土曜日の翌日の午前零時までの間は、すべて中央標準時より一時間進めた時刻(夏時刻)を用いるものとする。但し、特に中央標準時によることを定めた場合は、この限りでない。
第二条 四月の第一土曜日の翌日(日曜日)は二十三時間をもつて一日とし、九月の第二土曜日は二十五時間をもつて一日とする。
夏時刻の期間中のその他の日はすべて二十四時間をもつて一日とする。
第三条 この法律の施行に関し、時間の計算に関する他の法律の規定の適用について必要な事項は、政令で、これを定める。
附則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
この法律の適用については、昭和二十三年においては、この法律の第一条及び第二条において「四月の第一土曜日」とあるのは、「五月の第一土曜日(五月一日)」とする。

◎夏時刻法を廃止する法律 (法律第八十四号(昭二七・四・一一))
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/01319520411084.htm

夏時刻法(昭和二十三年法律第二十九号)は、廃止する。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。

SEKI'S SALON EXPOSURE METER MODEL II-A
測光種類計算盤式
発売1950〜1951年ころ