セレン光電池を使用した,コンパクトな反射光式露出計。2枚目の画像のように,専用のブースター(Hi-Fiアンプ)を装着することで,暗いほうへの測光範囲を広げることができる。逆に,明るいところではブースターをはずし,受光部のカバーを閉じることで対応する。途中でマイナーチェンジがあったようで,受光部に白色板をとりつけることで,入射光の測定にも対応できるようになっている。
「アサヒカメラ年鑑」の広告では,1956年版には記載がなく,1957年版より記載が見られる。そこでは, ディレクター L-8A型 2800円 L-8B型 2200円 と記載されており,2種類のモデルがあるように見えるが,「1957年版カメラ年鑑」にこの露出計に関する記事があり,こちらでは, 価格 L-8A 二、八〇〇円(アンプ付き) L-8B 二、四〇〇円(アンプなし) と記載されているので,L-8AとL-8Bの違いは露出計本体のモデルの相違ではなく,アンプを同梱しているか否かということのようである。また,「アサヒカメラ年鑑」の1959年版の広告では, ディクレクター L-8b 2200円 ディレクター用HiFiアンプ 600円 となっており,「1957年版カメラ年鑑」の「L-8B 二、四〇〇円」という価格は,2200円の誤りであると思われる。
ここで気になることは,「L-8B」だった表記が,「L-8b」になっていることである。 セコニックのWebサイトでは,過去に発売された露出計の取扱説明書が,(一部機種だけであるが)PDFファイルとして公開されている(*1)。そこのリストでは,L-8とL-8bの2種類があり,L-8には「リーダーデラックス」,L-8bには「ディレクター」という名称がつけられている。「アサヒカメラ年鑑」等の広告では,L-8もL-8bもすべて「ディレクター」であり,「リーダーデラックス」は使われていない。 この点については,日本国内向けには「ディレクター」の名称が使われていたが,輸出用には「リーターデラックス」の名称が使われていたことが考えられる。セコニックのWebサイトで公開されている「L-8 リーダーデラックス」の取扱説明書は,英語版の画像に日本語を加えたものになっていることからも,想像できる。また,アメリカにはNORWOOD DIRECTORという著名な露出計があり,これと混同する名称を使うことは憚られたことも考えられる。 また,以前のセコニックのWebサイトには過去の露出計のリストがあり,発売終了年らしきものが記載されているが(*2),実際に広告が掲載されていた年などと整合しない点もあり,どこまで信用できるかはわからない。ここでは,「L-8 LEADER DELUXE」が1956年まで,「L-8b DIRECTOR」が1960年まで発売されていたことになっている。「DIRECTOR」の名前が使えるようになったのは,NORWOOD (BROCKWAY) DIRECTORの後継機をセコニックが製造・発売(SEKONIC Studio S)するようになった結果,L-8に対してDIRECTORの名前が使えるようになったことも考えられなくはない。
ともあれ,SEKONIC L-8という露出計については,はっきりとしない点が多々ある。 それでも,SEKONIC L-8という製品には前期型と後期型があり,大きな違いは後期型では白色板の挿入に対応していることはあげておく。そして,いずれも製品のコードは「L-8」であるが,広告等では後期型を「L-8b」としていた可能性もありそうだ。また,前期型については,アンプの同梱の有無で,L-8AとL-8Bという2種類の商品コードが使われていた可能性もある。もっとも,白色板をとりつけられる後期型でも,製品裏面には「L-8」と記載されており,「L-8b」という記号は使われていないようである。
*1 カタログ,ソフトウェア,取扱説明書のダウンロード (株式会社セコニック)
*2 EOL(end of life)year of each light meter (Internet Archives)
セレン光電池を使用した,コンパクトな反射光式露出計。2枚目の画像のように,専用のブースター(Hi-Fiアンプ)を装着することで,暗いほうへの測光範囲を広げることができる。逆に,明るいところではブースターをはずし,受光部のカバーを閉じることで対応する。途中でマイナーチェンジがあったようで,受光部に白色板をとりつけることで,入射光の測定にも対応できるようになっている。
「アサヒカメラ年鑑」の広告では,1956年版には記載がなく,1957年版より記載が見られる。
そこでは,
ディレクター L-8A型 2800円
L-8B型 2200円
と記載されており,2種類のモデルがあるように見えるが,「1957年版カメラ年鑑」にこの露出計に関する記事があり,こちらでは,
価格
L-8A 二、八〇〇円(アンプ付き)
L-8B 二、四〇〇円(アンプなし)
と記載されているので,L-8AとL-8Bの違いは露出計本体のモデルの相違ではなく,アンプを同梱しているか否かということのようである。また,「アサヒカメラ年鑑」の1959年版の広告では,
ディクレクター L-8b 2200円
ディレクター用HiFiアンプ 600円
となっており,「1957年版カメラ年鑑」の「L-8B 二、四〇〇円」という価格は,2200円の誤りであると思われる。
ここで気になることは,「L-8B」だった表記が,「L-8b」になっていることである。
セコニックのWebサイトでは,過去に発売された露出計の取扱説明書が,(一部機種だけであるが)PDFファイルとして公開されている(*1)。そこのリストでは,L-8とL-8bの2種類があり,L-8には「リーダーデラックス」,L-8bには「ディレクター」という名称がつけられている。「アサヒカメラ年鑑」等の広告では,L-8もL-8bもすべて「ディレクター」であり,「リーダーデラックス」は使われていない。
この点については,日本国内向けには「ディレクター」の名称が使われていたが,輸出用には「リーターデラックス」の名称が使われていたことが考えられる。セコニックのWebサイトで公開されている「L-8 リーダーデラックス」の取扱説明書は,英語版の画像に日本語を加えたものになっていることからも,想像できる。また,アメリカにはNORWOOD DIRECTORという著名な露出計があり,これと混同する名称を使うことは憚られたことも考えられる。
また,以前のセコニックのWebサイトには過去の露出計のリストがあり,発売終了年らしきものが記載されているが(*2),実際に広告が掲載されていた年などと整合しない点もあり,どこまで信用できるかはわからない。ここでは,「L-8 LEADER DELUXE」が1956年まで,「L-8b DIRECTOR」が1960年まで発売されていたことになっている。「DIRECTOR」の名前が使えるようになったのは,NORWOOD (BROCKWAY) DIRECTORの後継機をセコニックが製造・発売(SEKONIC Studio S)するようになった結果,L-8に対してDIRECTORの名前が使えるようになったことも考えられなくはない。
ともあれ,SEKONIC L-8という露出計については,はっきりとしない点が多々ある。
それでも,SEKONIC L-8という製品には前期型と後期型があり,大きな違いは後期型では白色板の挿入に対応していることはあげておく。そして,いずれも製品のコードは「L-8」であるが,広告等では後期型を「L-8b」としていた可能性もありそうだ。また,前期型については,アンプの同梱の有無で,L-8AとL-8Bという2種類の商品コードが使われていた可能性もある。もっとも,白色板をとりつけられる後期型でも,製品裏面には「L-8」と記載されており,「L-8b」という記号は使われていないようである。
(入射光式も可)
*1 カタログ,ソフトウェア,取扱説明書のダウンロード (株式会社セコニック)
*2 EOL(end of life)year of each light meter (Internet Archives)