コダック

DCS 420

Kodak / DCS 420

 世界ではじめて市販されたディジタル一眼レフカメラは,1991年のKodak Professional DCSとされている。カラーやモノクロ,メモリ容量などの違いでDCS 3,DCS 3/32,DCS 3/B,DCS DM3,DCS DM3/32,DCS DM3/Bの6モデルがあった。これらはのちに,DCS 100とよばれるようになるが,そのようなよびかたはコダックにおける正式な名称ではない。なお,コダックDCSの設計にかかわった Jim McGarvey (*1)氏の " The DCS Story " を参照すると,それより先の1989年に,HAWKEYE II Imaging Accessory が A few units were sold とあるが,市販されたわけではないようである。Kodak Professional DCSは,カメラ部分とデジタル回路の部分とが別にユニットに分かれていたが,翌1992年には一体化された Kodak DCS 200 が発売されている。

 1994年には,Nikon F90 (実際には輸出仕様のNikon N90)シリーズを利用して,ディジタルバックを組みあわせてディジタル一眼レフカメラを形づくるKodak DCS400シリーズが発売された。このうちKodak DCS460は,600万画素クラスで27.6mm×18.4mmという当時としては大型の撮像素子を用いたもので,3060ピクセル×2036ピクセルという大きな画像が得られる,当時のディジタル一眼レフカメラとして最高の性能を誇るものとなった。ただし,日本での価格は349万円とされており,ずいぶんと敷居の高い製品であった。
 DCS400シリーズの1つとして発売された Kodak DCS 420はの撮像素子は,13.8mm×9.2mmの大きさで150万画素というものである。面積も画素数もKodak DCS 460の1/4というもので,得られる画像の大きさは1524ピクセル×1012ピクセルというものであったが,日本での価格は149万円におさえられていた(それでもまだ,一般の人が趣味の撮影のために購入するには,じゅうぶんに躊躇するものである)。撮像素子が小さいため,ファインダースクリーンに示された,写る範囲をあらわす枠線は,ずいぶんと小さいものになる。20mmレンズを装着してようやく,ライカ判カメラで50mmレンズを装着したときに相当する範囲が写るくらいである。記録される画像が小さいせいか,Kodak DCS 460より高機能な点として,5コマまでの連写が可能になっている。
 Kodak DCS420のバリエーションとして,カラー撮影用のDCS420cのほか,モノクロ撮影用のもの(DCS420m)や赤外線撮影用のもの(DCS420ir)などもあった。また,アメリカ政府や軍などに向けた,GPSを内蔵したモデルや,カラー赤外線撮影モデルなどの,特注品も展開されていた。

 Kodak DCS 420cのシリアルナンバーは,バッテリーの不具合による無償交換をよびかける文書(*2)の記載から,0150からはじまっていると考えられる。インターネットオークション等での出品などでは,1500くらいから8000くらいまでまんべんなく観察されるので,8000台くらいは流通したものと想像している。そのうち,3560くらいより前のものは,向かって右下のロゴが「Kodak ds / digital sciense」ではなく,「Kodak DCS」になっている,前期型であると考えることができる。

Kodak DCS 420c, Body No.420-6748
撮像素子タイプ13.8mm×9.24mm CCD 撮像素子画素数150万画素
記録画素数1524ピクセル×1012ピクセル
レンズニコンFマウント
シャッター電子制御縦走り金属幕
シャッター速度B,30〜1/8000スピードライト同調X接点 1/250sec
露出モードプログラムAE,シャッター速度優先AE,絞り優先AE,マニュアル
露出計3D-8分割マルチパターン測光(Dタイプレンズ),中央部重点測光,スポット測光
ファインダー内情報シャッター速度,絞り,露出計
電源充電式電池を内蔵 (9.6V 1700mAh)
発売1994年8月

*1 http://resume.jemcgarvey.com/
James McGarvey

*2 https://web.archive.org/web/19970525140536/http://www.kodak.co.jp/KPD/6p112400.shtml
「プロフェッショナルデジタルカメラのバッテリーパック無償交換のご案内」(日本コダック株式会社 プロフェッショナル事業部,1997年1月
※Internet Archivesより