コダック

DCS 200

Kodak / DCS 2020

 Kodak DCS 200は,1992年に発売されたデジタル一眼レフカメラである。世界ではじめて市販されたディジタル一眼レフカメラとされる,Kodak DCS 100(本来は,「Kodak Professional DCS」という名称である)のつぎに発売されたモデルである。
 Kodak DCS 100は,Nikon F3の裏蓋部分に撮像素子を取りつけたものと,デジタル回路やハードディスクドライブなどを内蔵したユニットとを,ケーブルで接続して使うようになっていた。それに対してKodak DCS 200は,カメラ部分とデジタル回路,ハードディスクドライブなどが一体化したものである。Kodak DCS 100が「世界ではじめて市販されたデジタル一眼レフカメラ」であるとすれば,Kodak DCS 200は「世界ではじめて市販された,一体型のデジタル一眼レフカメラ」である,ということになる。

 Kodak DCS 200には,カラー撮影モデルとモノクロ撮影モデルとがある。また,ハードディスクドライブを内蔵しないモデルも用意されていた。Kodak DCS 100が2万ドル以上の価格だったのに対して,Kodak DCS 200は1万ドルを下回る,大幅な低価格化も実現している。
 
【カラー撮影モデル】
 ハードディスクドライブ内蔵 Kodak DCS 200ci
 ハードディスクドライブなし Kodak DCS 200c
【モノクロ撮影モデル】
 ハードディスクドライブ内蔵 Kodak DCS 200mi
 ハードディスクドライブなし Kodak DCS 200m
 
 Jim McGarvey (*1)氏の "The DCS Story"によれば,Kodak DCS 200の販売台数は3240台である。流通した量はあまり多くなかったようで,中古カメラの市場で見かける機会も多くはない。サンプル数は少ないが,シリアルナンバーには,7000番台,9000番台,0番台のものを確認している。実際にはシリアルナンバーがどのように運用されていたのかはわからないが,7000から番号をつけはじめて,9999のつぎは0001にしたとすれば,観察されるシリアルナンバーの分布と整合しているとみなせる。

 Kodak DCS 200はコダック製のデジタルバックで,ニコンのカメラとくみあわせてデジタル一眼レフカメラを形づくる。カメラ部分には,Nikon N8008sを利用している。これは,Nikon F-801Sのアメリカ向け輸出モデルの名称である。
 Kodak DCS 200が使用する撮像素子は,13.8mm×9.2mmの大きさで150万画素の「M5センサ」というものである。これは,Kodak DCS 100が使用している「M3センサ」にくらべると横長で,縦横比はライカ判と相似形である。M5センサの画素数は,M3センサの画素数よりもわずかに多いものの,センサの大きさはずいぶんと小さいものになっている。
 1994年のKodak DSC 420でも,同じ「M5センサ」が使用されている。

 電源は,カメラ部分とデジタル部分とに,それぞれ必要である。カメラ部分は,Nikon N8008sそのものなので,単3形の電池4本が必要である。カメラ部分の電池を交換するには,デジタル部分とカメラ部分とを分離する必要がある。
 デジタル部分には単3形の電池6本が必要であり,底のバッテリーホルダ部分を開いて電池を交換する。

 Kodak DCS 420やKodak DSC 460は,カメラ部分にNikon N90シリーズ(Nikon F90シリーズのアメリカ向け輸出仕様)のカメラを使っている。カメラ部分とデジタル部分とは,カメラの10ピンターミナルを利用して接続しているので,カメラにリモートケーブルを使うことができない。
 それに対してKodak DCS 200は,裏蓋のマルチコントロールバックとの接続端子を利用して,カメラ部分とデジタル部分とを接続している。外にケーブルが見えておらず,スマートに一体化されている。また,Nikon F-801シリーズは,ややずんぐりして見えるNikon F90シリーズにくらべるとスマートである。デジタルカメラとして一体化された場合にも,Kodak DCS 4xxシリーズより,Kodak DCS 200のほうがスマートな印象を受ける。

Kodak DCS 200ci, Body No.K380-0060
撮像素子タイプ13.8mm×9.24mm CCD 撮像素子画素数150万画素
記録画素数1524ピクセル×1012ピクセル
レンズニコンFマウント
シャッター電子制御縦走り金属幕
シャッター速度B,30〜1/8000スピードライト同調X接点 1/250sec
露出モードプログラムAE,シャッター速度優先AE,絞り優先AE,マニュアル
露出計5分割マルチパターン測光(Dタイプレンズ),中央部重点測光,スポット測光
ファインダー内情報シャッター速度,絞り,露出計
電源カメラ部 単3型電池4本
デジタル部 単3型電池6本
発売1992年8月

 現在,このカメラは,少なくとも内蔵ハードディスクドライブが故障しており,撮影できる状態にない。また,それ以外に不具合があるのかどうかは,じゅうぶんに確認できていない。
 カメラに内蔵のハードディスクドライブに記録された画像を利用するためには,カメラとパソコンとをSCSIで接続する必要がある。このシステムが1992年に発売されたということは,Windows 95よりも前の時代である。Windowsパソコン用としては,Aldus Photostyler用のTWAINドライバが用意されているが,Windows 2000などのあたらしいパソコンではうまく動作しないようである。
 右の画面例は,Windwos 98が動作しているIBM ThnikPad R30(2000年代はじめごろのノート型PC)に,Aldus PhotostylerとTWAINドライバをインストールし,カメラとパソコンとを接続して,コントロールパネルを表示させたところのものである。画像ファイルは認識されておらず,まっくろな画面と同じファイル名が繰り返し並んでいるだけなので,バッファメモリの故障などが想像できる。「Do Self Test」を実行すると,最終的にカメラ背面の液晶ディスプレイにエラーメッセージ「E2」(the failure of the disk to start)が表示される。
 いまのところ,ここから先に,進んでいない。


*1 http://resume.jemcgarvey.com/
James McGarvey