フジ

ズームカルディア950

FUJI / Zoom CARDIA 950

 大柄なボディであるが,いかにもカメラらしい雰囲気を漂わせている。38mm〜85mmのズームレンズを搭載しており,ズーム操作にあわせて,ファインダーの視野だけでなくフラッシュの高さも変わるようになっているなど,芸が細かい。ピントも露出も巻き上げも自動の,フルオートのカメラであるが,機能の1つとして撮影モードを変更できるようになっている。
 用意されている撮影モードは,「日中シンクロ撮影」「マクロ撮影」「夜景撮影」の3種類である。LCDがあるのだから,ボタンで撮影モードを変更するようなインタフェースも考えられるはずだが,このカメラでは3種類の「HGカード」を,カメラ上面のホットシューのような部分にはめることで,撮影モードを変更するようになっている。「HGカード」は小さいので紛失することが懸念され,カードを紛失すると撮影モードの変更ができなくなるという問題はあるが,いまどの撮影モードになっているかがすぐにわかり,電源を切っても撮影モードが維持されるというメリットがある。ひんぱんに撮影モードを切り替える必要があるならば,この操作はわずらわしいが,撮影モードを固定してたくさん撮るような場合は,むしろ好都合だ。
 ズームカルディア950で使える「HGカード」は,付属している3種類だけのようだ。ところで,「HGカード」を裏返しても,電気接点のようなものは見えない。「HGカード」はどのようにして,撮影モードを変更する情報を,カメラに伝達しているのだろうか。電子マネー等で使われている「ICタグ」の技術が使われているのだろうか?と考えたくなるが,そんなに大げさなしくみを利用しているとも思えないし,追加のカードが発売されることもなければ,「HGカード」を利用する後継機が登場したようすも見られない。よく見れば,カードの右側に見える凹みの形が少しずつ違うことに気がつくだろう。
 カメラ側の接点をよく見れば,小さなスイッチらしきものが2つ見えている。つまり,「HGカード」をはめこむことで,これらのスイッチを押す組み合わせを変更しているということだ。万一「HGカード」を紛失しても,自作して対応できる可能性がある,ということである。「HGカード」を失くしてしまっても,あきらめずに「ズームカルディア950」をもっと使ってあげるようにしよう。
 
 

FUJI Zoom CARDIA 950, No.40300497
撮影レンズFUJINON LENS 38mm-85mm F3.8-F8.2 7群7枚
シャッター速度1/8秒〜1/250秒
夜景モード 標準1/2秒,望遠1秒
ピント調節マルチAF 0.75m〜∞
発売1991年