フジ

シルヴィ F2.8

FUJI / Silvi F2.8

 フィルムで撮るコンパクトカメラとしては最末期に発売されていたものの1つであり,出荷の終了は2007年5月である。
 このカメラの大きな特徴の1つは,「F2.8」という製品名があらわしているように,F2.8という明るいレンズが搭載されていることである。F2.8というのはズームレンズの広角側だけであるが,このとき24mmという超広角域までをカバーするようになっている。望遠側は50mm F5.6となるが,広角側が24mm F2.8ということは,コンパクトカメラとしては大きな魅力である。いわゆるスナップ撮影に,最適な仕様であろう。
 別の特徴として,シャッターレリーズボタンが左右に1個ずつ用意されていることがあげられる。多くのカメラでは,シャッターレリーズボタンは右手側にある。シャッターレリーズボタンが左手側にあるのは,Exaktaのシリーズや,「左利き用」をアピールする機種など,例が少ない。
 では,このFUJI Silvi F2.8にある左手側のシャッターレリーズボタンは,なんのためにあるのだろうか?左手用のもので,このカメラは右利きの人にも左利きの人にも使いやすい「ユニバーサルデザイン」を主張しているのだろうか?
 その答えは,カメラ上面にあった。そこにある小さなボタンは,「セルフショット」ボタンである。セルフショット,すなわち,「自撮り」だ。このモードに切り替えると,ズームレンズの焦点距離は24mmに固定され,撮影距離が0.45〜0.85mに設定される。つまり,右手をいっぱいに伸ばして自分自身を撮るために,シャッターレリーズボタンが左右に用意されているのである。
 もちろん,「左手でシャッターレリーズボタンを押すのがやりやすい」という人は,左手用シャッターレリーズボタンとして使えばよい。
 背面には,フラッシュのモード切り替えなどをおこなうための十字キーや液晶ディスプレイがある。その配置は,コンパクトディジタルカメラにも似たものになっている。まさに,フィルムからディジタルへの移行期にあらわれたカメラという雰囲気が漂うスタイルだ。
 実際に撮影したときの印象は,悪いものではない。コンパクトカメラとして,上質な製品にしあがっている。フィルムカメラ最末期に,フィルムでの撮影をじゅうぶんに楽しめるカメラを送り出してくれたことは,高く評価したい。


FUJI Silvi F2.8, No.4027769
撮影レンズSUPER EBC FUJINON 24-50mm F2.8-5.6 5群6枚構成
シャッター速度1〜1/350
露出調節プログラムAE
ピント調節アクティブ式AF 0.35m〜∞
遠景モード(無限遠,フラッシュ発光停止),クイックショットモード,セルフショットモードあり
内蔵フラッシュGN? 電源CR2型リチウム電池 1本
発売2002年12月

FUJI Silvi F2.8, ACROS

24mm F2.8というレンズなら,夜の街を撮りたくなる。


FUJI Silvi F2.8, ACROS

暗い場所では,ときにピントをはずしてしまうことがある。おかげで,ボケぐあいがなめらかであることはわかった。

FUJI Silvi F2.8, Konica 100

24mm-50mmというズームレンズは,街なかでのスナップ撮影には,好適だ。

FUJI Silvi F2.8, Konica 100

広角側でも,周辺までとくに破綻は感じられない。

FUJI Silvi F2.8, Konica 100

安心して撮影のできる,よい印象のレンズである。