キヤノン

オートボーイ スーパー

Canon / Autoboy S

 1979年に発売されたキヤノン「(初代)オートボーイ」(AF35M)は,EE(自動露出),フラッシュ内蔵,オートフォーカスに加えて電動巻き上げ機構を内蔵し,「片手で撮れる」はじめての全自動コンパクトカメラとして大ヒット商品となった。「オートボーイ」はキヤノンのコンパクトカメラを代表する愛称名となり,その後,じつに多数のモデルを含んだ大きなシリーズとして展開していく。キヤノン「カメラミュージアム」を参照すれば,「オートボーイ」という名前のついたカメラは,49種類を数えることができる(*1)。
 「オートボーイ」シリーズのなかで,「オートボーイ スーパー」を名乗るカメラが2つある。
 1つは,1981年に発売された「AF35ML」で,その愛称名が「オートボーイスーパー」というものだ。これは初代オートボーイについで発売されたもので,「オートボーイ」シリーズの2つ目の機種である。このクラスのカメラでは38mm F2.8 (3群4枚構成)レンズが使われているのが一般的であるのに対して,40mm F1.9 (5群5枚構成)という高スペックのレンズを搭載していることが最大の特徴だ。
 もう1つの「オートボーイ スーパー」は,1993年に発売された「オートボーイS」である。当時の全自動コンパクトカメラの最上位モデルとして位置づけられており,金属製のボディ,非球面レンズも使った38mm〜115mmのズームレンズ,オートフォーカスは3点測距,露出関係では3分割測光で最長4秒(夜景モード)〜1/1200秒に対応したシャッターをもち,さらに操作面では「夜景モード」や「マクロモード」なども選択できる「ベストショットダイヤル」が用意されているなど,多機能を誇るカメラとなっている。レンズも,広角側(38mm)ではF3.6という明るさが確保されており,いわゆる「暗黒ズーム」にはなっていない。
 それまでのコンパクトカメラとしては一般的なサイズといえるのだが,基本的にカメラが小型軽量化する流れにおいては,かなり大柄なカメラとなっている。オートフォーカスや露出の精度,レンズの高性能化などにこだわった方針は好感がもてるが,オーバースペック気味に感じないこともない。


Canon Autoboy S, Body No.5966752
撮影レンズCanon Zoom Lens 38-115mm F3.6-8.5
シャッター速度4秒〜1/1200秒
露出調節3分割測光プログラムAE,スポットモードではスポット測光
ピント調節3点測距アクティブAF
 0.6m〜∞,マクロ 0.4m〜
電源CR123Aリチウム電池 2本
発売1993年


*1 http://web.canon.jp/Camera-muse/camera/film/series_ab.html
   「キヤノンカメラミュージアム カメラ館 フィルムカメラ・シリーズ別」(キヤノン)