フジ

工事カメラK-35

FUJI / K-35

 「各種工事現場の記録撮影用に設計した」(日本カメラショー「カメラ総合カタログvol.101,1991年4月)と称するカメラである。製品のコンセプトとしては,1988年から発売されているコニカ現場監督シリーズの影響を大きく受けていると考えられるが,現場監督シリーズはオートフォーカス式の全天候型カメラであるのに対し,フジ工事カメラシリーズは,目測式のカメラである。目測式の全天候型カメラとして,フジは1979年のHD-1フジカ以来,HDシリーズを展開しており,コニカの影響を受けたのはネーミングくらいではないかと考えられる。
 ともかく,この「工事カメラK-35」は,HDシリーズと同じく,防水対策を施された全天候型カメラであることが大きな特徴である。ピント調整は目測式だが,カメラ上面の背の高いダイアルで調整するようになっているなど,全体に操作のダイアルやレバーが大きめになっていて操作しやすくなっている。
 露出調整については,シャッター速度は固定(1/100秒)であるが,絞りは自動的に3段階に切りかえられる。ただし,このカメラにはフィルム感度を切りかえる機能がない。感度ISO 100のフィルム専用となっている。フラッシュを使用しないときは被写体の明るさに応じて絞りが自動的に切り替わる自動露出になっており,フラッシュを使用するときはピント調整ダイヤルで設定する距離に応じて絞りが切り替わる「フラッシュマチック」になっている。おそらく,「業務用ネガカラーフィルム」として売られているフィルムの使用だけを想定して,機能を簡略化しているのだろう。同時期に発売されている「ドン(HD-R)」の33,900円よりも安価な24,800円という希望小売価格が設定されている。

 日本カメラショー「カメラ総合カタログ」では,vol.101(1991年4月)から掲載が見られる(1991年3月のvol.100には掲載がない)。vo.103(1992年2月)では,「工事カメラ K-28/K-35」とあわせて掲載されている。vol.105(1992年9月)からは「工事カメラ K-28」だけの掲載になり,「工事カメラ K-35」の発売期間は短かったようである。なお「工事カメラ K-28」は,vol.117(2001年3月)まで掲載がある。工事現場の記録には,28mmくらいの広角レンズが都合よいことが多いのだろう。


FUJI K-35, No.30301390
撮影レンズFUJINON 35mm F3.8 3群4枚
シャッター速度1/100
絞り3段階自動切りかえ
露出調節自動露出
ピント調節目測式 1m〜∞
電源単3乾電池 2本
発売1991年4月頃