ミノックス

35EL

MINOX / 35EL

 超小型カメラで有名なドイツのミノックス社の35mm判フルサイズカメラである。レンズは沈胴式で,前蓋の開閉に伴ってレンズは出たりひっこんだりする。このデザインは,日本のリコーFF−1や,コンタックスTなどにも影響を与えていると言われている。それだけ優れたデザインということだろう。あげくのはてソ連製のそっくりさんまで存在するのだから,その影響力の大きさは想像に難くない。
 絞り優先式AEなので,絞りのコントロールが可能な点がうれしい。また,ファインダー内で確認できる指針式露出計により,おおよそのシャッター速度がわかることもありがたい。しかし,このカメラのデザイン上の特徴であるボディ前蓋のため,絞りの操作はやや難しい。また,巻上げが非常に堅いことも,特徴(欠点?)のようだ。なお,ピント調整は目測式だが,ある程度絞りこむことで,ピントがはずれにくくなると言える。持っていて,使っていて,それだけでうれしくなるタイプのカメラである。

MINOX 35EL, BODY No.3652554
撮影レンズColor-Minotar 35mm F2.8
シャッター速度〜1/500
絞り2.8〜16
露出調節絞り優先AE
ピント調節目測式 3feet〜
発売1974年

MINOX 35EL (Color-Minotar 35mm F2.8), SP100

 巻上げは,レバー式だが,1コマ巻き上げるためには2回の操作である。また,この操作は尋常ではなく堅い。36枚撮りフィルムを装填すると,かなりの苦痛に感じられることもある。一方,シャッターレリーズボタンの操作は,クリック感が強く,わかりやすい。シャッターそのものの動作は静かで,このあたりの動きは,やや安心感に欠ける面がある。いろいろな面で,工夫の余地はたくさんあると思われるが,このサイズのカメラが実現されていることは高く評価したい。また,このカメラは簡便な操作のEEカメラだが,前蓋を開いて撮影態勢をとるという面で,撮り応えの感じられるカメラであると感じられる。