フジ

　防水性能をアピールしたカメラである。ハウジングなどの特殊なケースを必要とせず，カメラそのものが防水・防砂・防塵性能をもたせている。雑誌などでは「洗えるカメラ，新発売」（POPEYE 1979年7月25日号に掲載の広告より）のようにも宣伝されていた。このようなカメラとしては，ニコノスなどの先例があるものの，比較的低価格で一般のユーザ向けの防水カメラとしては，ごく初期のものであるといえる。なお，このカメラには，フラッシュは内蔵されていない。フラッシュ撮影は，専用の防水タイプのものを装着しておこなうようになっている。カメラそのものは，レバー式巻き上げ，目測式ピント調整，プログラムAEのシンプルなものである。レンズ前面のプロテクトガラスや，裏ブタの厳重なロックなどが，このカメラが防水カメラであることを意識させてくれる。カメラの名称「HD」は，heavy-duty（とくに頑丈な，丈夫な）をあらわしている。
　本来はシャッターレリーズボタンもゴムで覆われているが，ここに展示したカメラでは残念ながらそこが劣化してしまっているため，現状では防水カメラとしては使えない。