シグマ

AF 75-200mm F3.8 (オリンパスAF用)

SIGMA / AF 75-200mm F3.8 for OLYMPUS AF

 よく知られているように,世界ではじめて商品化された35mm判(ライカ判)スチルカメラ用のズームレンズは,1959年に Voigtlander BESSAMATIC用に発売された,Zoomar 36mm-82mm F2.8である。この後,各社からズームレンズが発売されるようになるが,1963年に発売されたZoom-NIKKOR Auto 43mm-86mm F3.5を除けば,大半が望遠ズームレンズに分類されるようなものであった時期がしばらく続いていた。とくに,80mm程度から200mm程度をカバーする望遠ズームレンズが多く発売されており,望遠レンズとして使いやすい焦点距離をカバーしていることもあって,現在でもよく見られるレンズである。そのため,明るい高性能タイプ,暗いが小型軽量で価格を抑えたタイプなど,各社ともバリエーションが多くなっているタイプのレンズである。
 SIGMA AF 75-200mm F3.8は,日本カメラショー「カメラ総合カタログ vol.93」(1988年9月)には記載が見られるが,「カメラ総合カタログ vol89」(1987年4月)には記載が見られない。1987年後半から1988年前半にかけての頃に発売されたと思われるが,これはちょうど各社からオートフォーカスの一眼レフカメラが発売されはじめた時期に相当する。そのためか,比較的マイナーな存在にとどまったオリンパスAF用のレンズも用意されていた点は,特筆されるだろう。このときシグマには,70-210mm F4-5.6 (MF/AF),70-210mm F3.5-4.5 (MF/AF),75-200mm F2.8-3.5 (MF),75-200mmF3.8 (MF/AF)といったラインアップが掲載されていた。通しでF3.8という明るさをもつこのレンズは,高性能タイプと廉価タイプの中間に位置するもので,しかも通しでF4のレンズよりもちょっとだけ明るいぞ,という自己主張がうかがえる。一方,小型軽量に徹しているわけでもないので,レンズは重く感じる。そのうえにズーミングは直進式なので,やや扱いにくい。

SIGMA AF 75-200mm F3.8, No.
焦点距離75-200mm 口径比3.8
レンズ構成9群12枚
マウントオリンパスOMマウント(AF/PF専用)
発売1988年ころ

 オリンパスのAFカメラ(OM707およびOM101)は,従来のマニュアルフォーカスのレンズを使用することができる。逆に従来のOMシリーズでは,AF用レンズを使用できない。純正のAFズームレンズ(たとえばOLYMPUS AF 35-70mm F3.5-4.5)は,マウントの爪の大きさが微妙に違うためにボディにレンズをはめこむことができない。このSIGMA AF 75-200mm F3.8は,爪の大きさは問題ないがロックの形状が微妙に異なるためにレンズを回すことができず,結局は装着できない。「オリンパスAFレンズを従来のOMボディにつけると,はずれない」という話が出回っているが,はたして自分で現物をもって確かめたのだろうか?そもそも装着できないのだから,はずれなくなりようがないのである。
 ただし,私が確認したのはこの2本(OLYMPUS AF 35-70mm F3.5-4.5とSIGMA AF 75-200mm F3.8)とOLYMPUS OM1ボディの組みあわせのみだ。オリンパス純正レンズであればこのあたりの配慮はきちんとされているものと思うが,オリンパス以外が発売するレンズの場合,その配慮が不十分である可能性があるかもしれない。上記以外の組みあわせについては,念のために自分自身で確認していただきたい。

OLYMPUS OM707, SIGMA AF 75-200mm F3.8, ACROS

 80mmから200mmあたりをカバーする望遠ズームレンズに,「はずれ」はないと聞く。このレンズも,描写に関してはとくに大きな問題点は感じない。ただ,操作性は上にも書いたように,よいとは思えない。