ミノルタ

SR-1

MINOLTA / SR-1

 かつて一眼レフカメラは「使いにくい」「特殊な用途」のカメラと考えられていた。しかし「ペンタプリズム」(1949年のContax S),「クイックリターンミラー」(1954年のAsahiflex IIb, あるいは1948年のDuflex),「自動絞り」(1958年のZunow)などの機構がつぎつぎに実現され,これらをすべて取り入れることで一眼レフカメラから「使いにくさ」が払拭されたのである。そして,1959年には「ニコンF」が発売された。その完成度の高さもあって,小型カメラの主流が一眼レフ形式になることを決定づけた,歴史的に意義のある存在の製品だったと言える。
 そんな1960年前後には,多くのメーカーから,さまざまな一眼レフカメラが発売された。一眼レフカメラで一定の成功をおさめたメーカーは,後の有力ブランドに発展していったようにも見える。1959年に発売された「ミノルタSR-1」も,この時代を代表するカメラの1つである。

 「SR-1」というからには「SRシリーズ」の「最初のモデル」に思われるが,実際には1958年に発売された「ミノルタSR-2」の廉価版として,遅れて登場している。「ミノルタSR-1」の特徴としては,こういう時代を反映して,「一軸不回転ダイヤル式シャッター 1〜1/500秒」「クイックリターンミラー」「自動絞り」があげられていた。「SR」シリーズ用のレンズには,世界初とされる二層膜アクロマチックコーティングが施され,「カラーに理想的な緑色のロッコールレンズ」として高く評価された。レンズマウントの基本的な形状は,1985年の「ミノルタα-7000」用AFレンズ群の登場まで,変更されることなく継承されてきた。

 「ミノルタSR-1」は長期にわたって発売されており,その間にマイナーチェンジが繰り返されている。機構や外観で大きな変更が加えられて「まったく別のカメラ」に見えるケースもあるが,カメラの名称は頑なに「SR-1」であった(「ミノルタSR-1後期型」を参照)。。
 前期型と後期型の機構上のもっとも大きな違いとしては,「自動絞り」機構を指摘できる。
 前期型は,「自動絞り」と言っても「完全自動絞り」ではない。シャッターレリーズ直後は絞りこまれたままの状態で,巻き上げをおこなうことで絞りが開放になる「オートプリセット絞り」と称するものだった。後のモデルでは,「完全自動絞り」が実現されている。

MINOLTA SR-1 (earlier version), No.1245229
シャッター横走り布幕シャッター
シャッター速度B,1〜1/500
フラッシュ同調X,FP接点 1/30と1/60の間にX
露出計なし
マウントミノルタSRマウント,オートプリセット絞り
発売1959年ころ

「ミノルタSR-1」の前期型モデルには,「シャッター速度ダイアルが等間隔ではない最初期型」が存在する。