ミノルタ

α-7000

MINOLTA / α-7000

 オートフォーカス一眼レフカメラの基本形を築いた,歴史的に大きな意味のあるカメラである。α-7000以前にもオートフォーカス一眼レフカメラは何機種か存在したが,いずれもごく少数の専用レンズが用意されている程度で,オートフォーカスレンズだけで充実したシステムを構築することができるようなものではなかった。
 α-7000は,充実したシステムと実用的なオートフォーカス機構で,オートフォーカスそのものに懐疑的な人も少なくなかった状況をも打破することができたのである。当然のようにαー7000は大ヒット商品となり,店頭での入手が困難な時期もあったようで,逆輸入品(ボディに「α」がついていない)が流通するケースも見られた。
 一連の現象は「アルファショック」ともよばれるようになり,やや停滞気味だった一眼レフカメラ市場に,活気をよびもどすことにもなった。オートフォーカス一眼レフカメラが主流になる一方で,オートフォーカス一眼レフカメラのシステムを供給できなかったメーカーのなかには,35mm判一眼レフカメラ市場から撤退していくケースも見られた(フジやコニカなど)。

 オートフォーカス以外の機能としては,プログラムAE,絞り優先AE,シャッター速度優先AEが可能な,マルチモードAEが搭載されている。ファンクションボタンを押しながら,右手側のボタンを操作することでAEモード等の切り替えをおこなうユーザインタフェースは,それまでのダイアルを中心とするものとは異なる,新しい時代を感じさせるものだっただろう。それが使いやすいかどうかは,別の問題。
 裏蓋を「データバック70」に交換すると,日付の写しこみが可能になる。さらに,「プログラムバック70」に交換すると,日付の写しこみに加えて,インターバルタイマー撮影などの機能が付加される。インターバルタイマー撮影は,一定の時間間隔で自動的に撮影をおこなうもので,オートフォーカス一眼レフカメラのメリットを大きくアピールすることができる機能である。
 プログラムバックには,さらに多機能の「プログラムバックスーパー70」が用意されていた。これで追加される機能は,オートブラケティング,測光値メモリー・演算機能,撮影データ記録などである。また,さらに後には,α-7000をスチルビデオカメラとして使うための「スチルビデオバックSB-70」も提供されるようになるなどのさまざまな発展の可能性も感じさせてくれたものである。

MINOLTA α-7000, No.21173970
シャッター電子制御縦走り金属幕
シャッター速度B,30〜1/2000スピードライト同調1/100sec,X
露出計TTL中央重点的平均測光
露出モードプログラムAE,絞り優先AE,シャッター速度優先AE,マニュアル
マウントミノルタα
発売1985年2月

 α-7000以前のAF一眼レフカメラは,レンズに駆動モーターや電源を内蔵するタイプのものが主流で,既存のマニュアルフォーカスレンズにくらべて高価で重いものだった。α-7000は,ボディ側にモーターを搭載する方式を採用。それによって,レンズの大きさや価格は,既存のレンズと同等のものになり,ラインアップも充実するようになった。また,レンズの絞りリングがなくなり,ボディのボタン等で絞りを操作するようになった。
 撮影時,右手側のボタンはシャッター速度の変更に用いられ,レンズマウント部にある左手で操作するボタンは,絞りの変更に用いられる。ダイアルによるユーザインタフェースから,ボタンによるユーザインタフェースへの変化があったものの,両手の役割は,従来のものを踏襲しているようである。

 α-7000に標準装備されているバッテリーホルダBH-70Sは,カメラ全体をすこしでも軽量,コンパクトにすることをねらったのか,単4乾電池4本を電源とする。しかし,フィルムの巻き上げやレンズの駆動など,モーターの動作が多いことから,より多くの撮影にも対応できるように単3乾電池を使用するためのホルダBH-70Lも用意されていた。