フジ

フジカ AX-5

FUJI / FUJICA AX-5

 AXシリーズは,フジ(富士写真フイルム)から発売された35mm判一眼レフカメラとして最後のシリーズである。まずは輸出専用モデルのFUJICA STX-1と同型のFUJICA MPF105Xが1979年に発売された。
 日本国内向けとしては,1980年に3種類のAE一眼レフカメラが発売されている。FUJICA AX-5はその最上位モデルとなるマルチモードAE機である。FUJICA AX-5が発売された1980年当時,他社から発売されていたおもな一眼レフカメラとしては,世界初の両優先AE機(絞り優先AEとシャッター速度優先AEが使え,シャッター速度優先AE時に露出が不足するときなどはシャッター速度も変化する)とされるminolta XD (1977年発売),両優先AEにくわえプログラムAEなども付加したCanon A-1 (1978年発売),Mamiya ZE-X (1981年発売)などがあり,マルチモードAE機の黎明期であるといえる。なお,PENTAX Super AやNikon FAの発売はこれらより遅れて,1983年のことになる。

 FUJICA AX-5はマルチモードAEという多機能をそなえたうえ,ファインダー内の情報もFUJICA AX-1のように簡略なものではなく機能面で不安をもつことはない。しかしながら,ミノルタやキヤノンのカメラのように目立つことはなかった。1980年3月に発売されたFUJICA AX-5およびFUJICA AX-1の後には,中位モデルFUJICA AX-3が1980年5月に発売されたている。こののち1985年にかけて,何種類かの後継機が発売されているが,いずれももっぱら輸出用だったようで,日本国内で見かけることはほとんどない。また,FUJICA AX-5,AX-3,AX-1以外のAXシリーズは,日本カメラショー「カメラ総合カタログ」に掲載されることはなかった。
 そして,フジからオートフォーカスの一眼レフカメラが発売されることはなく,AXシリーズは気づかぬうちにカタログから消えていた。1980年版から1984年版にかけては,FUJICA AX-5,AX-3,AX-1がそろって掲載されているが,1985年版ではvol.82,vol.83ではFUJICA AX-3だけが,vol.84でがFUJICA AX-1だけが掲載されている。1986年版以降の掲載は,ない。

FUJICA AX-5, No.7028015
シャッター電子制御横走り布幕
シャッター速度 2秒〜1/1000秒
スピードライト同調X接点
露出計TTL開放測光露出モード絞り優先AE,シャッター優先マルチプログラムAE,プログラムAE,ストロボAE,マニュアル
マウントフジカXマウント
発売1980年3月

 フジカXマウントのカメラは,朝日ソノラマ「クラシックカメラ専科No.44」の記事によれば,9機種ある(ブラックボディなどのバリエーションを除く)。

発売年月機種特徴
1979年 3月FUJICA STX-1輸出専用
1979年 8月FUJICA MPF105X輸出専用
1980年 3月FUJICA AX-5マルチモードAE
1980年 3月FUJICA AX-1絞り優先AE専用
1980年 5月FUJICA AX-3絞り優先AE/マニュアル
1982年11月FUJICA STX-1N輸出専用
1982年11月FUJICA MPF105XN輸出専用
1985年 8月FUJI AX MultiProgram輸出専用,AE
1985年11月FUJI STX-2輸出専用

そのほか,海外の販社銘で発売された機種もいろいろ存在するようだ。