エルネマン

ヘーグ0(ゼロ)

ERNEMANN / HEAG 0

 後に,ツァイス・イコンになった会社の1つであるエルネマン社が製造したカメラの1つで,1919年ころの製品である。
 カメラ上部にはボタンがあり(貼革の下に隠れている),これを押すとばねによってベッドが開く。そしてレンズボードを引き出せば,撮影態勢となる。ピントグラスを利用すれば,構図やピントをきちんと調整した撮影ができる。いっぽう,ベッド部にある距離指標を利用してピントをあわせ,反射式のファインダーを覗いて構図をつくれば,スナップ撮影も可能である。なお,ベッド部にある距離指標は,無限遠から6フィートまでの撮影に対応している。

 画面サイズはおよそ6cm×9cmの大名刺判とよばれるもので,ボディは木製。画面サイズのわりには非常に小型軽量なカメラになっている。ただし実際に撮影するにあたっては,それなりの数の乾板(あるいはフィルムホルダ)が必要になるので,トータルの重量はそれなりのものになるだろう。
 シャッターは,エバーセット型のもので,露光時間は1/100,1/50,1/25秒の3段階。ほかに,TとBがある。

ERNEMANN HEAG 0, Body No.935513
撮影レンズErnemann Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8
シャッター速度B, T, 1/25〜1/100
ピント調節目測・6feet〜
使用フィルム大名刺判乾板 画面サイズ61mm×84mm
発売1919年

Ernemann Heag 0, Ernemann Detektiv Aplanat 10.5cm F6.8 (1/100sec F11), E100GP

 背景の周辺部が,円を描いたようになっているあたりは,古い廉価版レンズの特徴といえるだろう。しかしながら,中心付近でピントのあったところは,驚くほどにシャープである。このあたりも,レンズの構成枚数が少ない,古いレンズの特徴といえるだろう。

フィルムについて

 このカメラは,本来は大名刺判の乾板を使う。ただ,大名刺というとほぼ6×9判である。木で簡単なアダプタをつくることで,マミヤプレス用のロールフィルムホルダ(6×9判用)を使えるようになった。このようにしておけば,フィルムで困ることはない。