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　カビネ判サイズ用の組立暗箱である。「Art FIELD CAMERA」と記された銘板がついているので，「アート」というメーカー（ブランド）の「フィールドカメラ」であると思われるが，詳細はわからない。「アート」といえば，富山製作所の「アートパノラマカメラ」を連想するが，富山製作所のWebサイトを参照しても，このような木製カメラを発売したような形跡は見られない。また，富山製作所はそもそも金属加工を中心としており，このような木工製品と関連するようには思えない。
　インターネットオークションなどを眺めていると，同じような銘板をつけたカメラを見かけることがある。そのなかにはカビネ判より大きなサイズのものもあるので，「Art」銘の組立暗箱はそれなりの数が流通していたものとは思われる。組立暗箱を「フィールドカメラ」と称することが流行したのはいつごろからのことか，それはわからないが，わざわざ「FIELD CAMERA」を名乗っているのであれば，これ以外にも「Art」のカメラが存在してもよさそうだが，それはいまのところ見たことがない。
　結論として，いつごろ，どこでつくられたものか，知る手がかりがない。

　フロントスタンダード部の固定方法は，M.S.K.の組立暗箱と同じように，段差をくみあわせて金具でロックするようになっている。レンズボードをはめこむ部分のスライドについても，同じような形になっている。組立暗箱の機構におけるの，１つのパターンのようである。

　使う撮り枠はカビネ判用のものであるが，たとえばこちらの無銘カビネ判組立暗箱用の撮り枠とは，サイズが微妙に違っている。そのため，うまくはまらず，共用ができない。きちんとした規格があるのかないのか，単に各製造者の工作精度の誤差が大きいだけなのか，そのあたりはよくわからない。