サンパック

SP-1000

SUNPAK / SP-1000

 スピードライトのブランドとして有名な「サンパック」から発売された110判ポケットカメラである。取扱説明書には,「ストロボのサンパックが独自に開発したストロボつき110カメラです」と書かれている。
 シャッター速度とピントが固定で,絞りは「お天気マーク」で3段階に調整する,ごくありふれた仕様の110判カメラであるが,「ストロボのサンパック」としての主張なのか,フラッシュにちょっとした工夫が施されている。このカメラは,ファインダーを起こして撮影するようになっているのだが,このファインダーがロックになっており,ファインダーが収納された状態ではフラッシュの電源をONにできず,逆に,フラッシュの電源をONにしたままではファインダーを収納することができないようになっている。フラッシュの電源を切り忘れることを防ぐ,よいしくみであるといえる。

 サンパックSP-1000は,日本カメラショーの「カメラ総合カタログ」には,1978年(VOL.61)と1979年(VOL.64)版に記載がある。また,SP-1000の説明書には「製品の外観,仕様などは改善のため変更されることがあります。52-7」という記載がある。この「52-7」は,説明書の内容が1977年7月現在のものであることを示しているものと考えられる。以上のことから,サンパックSP-1000の発売は,1977年後半であると推測できる。なお,日本カメラ「カメラ年鑑1979年版」(1978年12月発行)では,1977年8月と示されている。
 この説明書では,SP-1000のほかにSP-2000EEという上位モデルも紹介されている。SP-2000EEは,その名称のとおり,プログラムAE機構が組みこまれていて,シャッター速度は1/15〜1/500秒,絞りはF4〜F11の範囲で変化するようである。また,ピント調整は2点ゾーンフォーカス式になっている。しかし,SP-2000EEは日本カメラショーの「カメラ総合カタログ」で確認できない。掲載された巻がごく限定的なものだったのか,あるいは,発売を予定していたもののなんらかの事情で発売されなかったのかが気になっていたが,2021年9月に,eBayに出品されているものを目撃した。輸出されたが,国内販売がなかったと考えられる。なお,「カメラ年鑑1979年版」および「カメラ年鑑1980年版」以降でも,SP-2000EEの掲載はない。1979年版には,SP-1000の下位モデルSP-900の掲載がある。

SUNPAK SP-1000, Body No.17 008080
撮影レンズ26mm F4
シャッター速度メカニカル式固定 1/125秒
フラッシュ撮影スピードライト内蔵
ピント調節固定 0.5m〜∞ (お天気マーク「晴」(F16)の場合)
使用フィルム110カートリッジ
発売1977年