ニコン

ピカイチズーム

Nikon / TW ZOOM

 ニコンのコンパクトカメラで,はじめてズームレンズを搭載した機種である。レンズの焦点距離は,35mmから80mmをカバーしている。最短撮影距離は,全域で0.7mとなっており,かなりの撮影領域をカバーできそうである。実際に使ってみると,近距離では思ったところにピントをこさせることは容易でなく感じられるところが残念である。
 それまでのコンパクトカメラではあまり見られなかったような機能も搭載されている。ニコンとしてはじめてのズームレンズつきコンパクトカメラということで,強力なアピールを必要としたものと思われるが,当時,コンパクトカメラの最上位モデルとして,その価格に見合うさまざまな機能を盛り込んだものとも思われる。

連写:毎秒1コマ程度の連写が可能。
ステップズーム:ズームを5段階に選択する。
ズーム連続撮影:35mm,53mm,80mmに切りかえて,3枚連続して撮影する。
イメージセレクタ:アップ,バストショット,全身のいずれかを選択しておくと,撮影距離に応じて焦点距離が変わる。


Nikon ZOOM300, Body No.---
撮影レンズNikon Zoom Lens 35mm F3.5〜70mm F6.5 7群9枚
露出調節プログラムAE
ピント調節アクティブ式AF 0.6m〜∞
内蔵フラッシュGN12.5〜14 (ISO100)電源2CR5 1個
発売1988年

Nikon TW ZOOM (Nikon Zoom Lens 35mm F3.5〜70mm F6.5), GOLD100

 このころすでに,一眼レフカメラの交換レンズとして,ズームレンズは一般的な存在であった。レンズ交換のできないコンパクトカメラこそ,ズームレンズは必要なのかもしれない。世間では,ビデオカメラも普及してきて,ズームレンズはより身近な存在になっていただろう。そして,コンパクトカメラにもズームレンズが搭載されるようになってきた。このカメラは,ニコンとしてはじめてのズームレンズつきコンパクトカメラである(過去に,ズームレンズを固定した一眼レフカメラを発売していたこともあったが)。そのせいか,たいへんに「気合い」のはいった「多機能」カメラになっている。その代表的な機能としては,「ズーム連写」機能がある。これは,連続して広角,標準,望遠で撮影をおこなう機能である。「イメージセレクタ」もおもしろい。アップ,バストアップ,全身のいずれかを設定しておくと,撮影距離に応じて適切な焦点距離が自動的に選択されるのである。まさに,ズームレンズを活かした機能であるが,はたしてこれらの機能は,実用的だったのだろうか,このカメラを使ってみて感じた疑問である。まあ,少々大柄なボディではあるが,ズームレンズつきコンパクトカメラとしては,しっかりとできている製品だろう。