リコー

エルニカ35

RICOH / ELNICA35

 プログラム電子シャッターで,2秒の長時間露光から,1/1000秒の高速シャッターまでに対応した上級機である。二重像合致式連動距離計を内蔵し,1秒前に光で知らせるセルフタイマー,F1.8の大口径レンズなどの高スペックを誇る。レンズシャッター式カメラで,1/1000秒に対応しているものは,貴重な存在だ。フラッシュをセットしていれば,暗くなると自動発光する「オートフラッシュマチック」機能を搭載している。これは便利な機能だが,暗くならないと発光しないため,デーライトシンクロ撮影ができないという問題もある(後のモデルでは,強制発光させるためのスイッチが付加されている)。全体に高スペックであるが,その一方で,だれにも失敗なく撮ることができる自動化も進んでおり,せっかくの高スペックを十分に活かしきれないように思われる。

 レンズシャッターカメラでは数少ない,1/1000秒の高速シャッターを使うことができる,セイコーESF電子シャッターを搭載し,レンズはF1.8の大口径比のものが搭載されているという高スペックを誇るカメラである。1973年当時の標準価格をくらべてみると,このカメラはかなり高級な機種に分類されることがわかるであろう。ヤシカ「エレクトロ35」やキヤノン「キヤノネット」よりも高い価格がつけられているのである。

  • リコーエルニカ35    29,800円(ケース別)
  • リコー500GS     18,000円(ケース別)
  • リコーオートハーフE   11,600円(ケース別)
  • ヤシカエレクトロ35GT 28,450円(ケース別,フード付き)
  • キヤノネットGIII-17   29,000円(ケース別)
  • オリンパスペンEE2   10,000円(ケース別)
  • ペトリV6II(一眼レフ) 27,200円(ケース別,55mm F1.8付き)
  • RICOH ELNICA35, BODY No.09118749
    撮影レンズCOLOR RIKENON 40mm F1.8
    露出調節プログラムAE F1.8 2〜F16 1/1000
    ピント調節二重像合致式距離計連動 0.9m〜
    発売1972年

    RICOH ELNICA35 (COLOR RIKENON 40mm F1.8), GOLD100

     このクラスのカメラに共通する問題点として,大きく重いことがあげられる。残念なことに,その問題点を補ってあまりある魅力が感じられない。ファインダーは見やすいのだが,写りがいまひとつパッとしないのだ(これは重大な問題である)。同クラスの,ミノルタハイマチック7と比較しても,明らかに見劣りする印象を受けたものだ。ただし,どちらも多くの本数を撮っているわけではないので,第一印象に近いものであることはお断りしておく。
     ちなみに,このカメラの魅力としては,シャッターの動作音がきわめて静かであることをあげておく。普段の撮影には,静かすぎてかえって使いにくいと感じる要素にもなりかねないのだが,徹底的な静けさが求められる場においては,最適なカメラになるのかもしれない。