オリンパス

XA

OLYMPUS / XA

 このカメラは,レンズバリアをスライドさせることでスイッチがオンになる方式の先駆けといえる。いわゆる「ケースレス」スタイルの流行をつくったカメラということで,長く語り継がれるべきカメラであろう。スタイルの面で非常に注目されたカメラであるが,このカメラの優れているのはスタイルだけではない。撮影のための機能も充実している。ピントは,内蔵された二重像合致式連動距離計できっちりとあわせることが可能で,露出制御は絞り優先AEとなっている。プログラムAEのみならずAFも実用化されるようになった時代に登場したカメラなので,その仕様は一時代前のものともいえるが,作画を意識したコンパクトカメラとしてたいへん貴重な存在である。そしておそらく,二重像合致式連動距離計をファインダーに内蔵した35mm判(ライカ判)カメラとしては,もっとも小さなものではないかと思われる。手のひらサイズの小型ボディに,連動距離計が内蔵され,絞り優先AEであるというこのスペックは,「いつも持ち歩いて写真を撮りたくなる」ものである。一方で,組みたてには随所に接着剤が用いられており,そういう面には割り切りも見られるカメラである。

OLYMPUS XA, BODY No.2406080
撮影レンズF.Zuiko 35mm F2.8
シャッター速度10sec〜1/500sec
絞りF2.8〜F22
露出調節絞り優先AE
ピント調節二重像合致式距離計 0.85m〜
発売1979年

OLYMPUS XA (F.Zuiko 35mm F2.8), S-400

OLYMPUS XA (F.Zuiko 35mm F2.8), S-400

 1970年代前半くらいまでは,各社からラインアップされていた35mm判レンズシャッターカメラの多くは「二重像合致式距離計」を内蔵したものであった。それらのカメラは大口径レンズ搭載という性能をアピールしながらも,より幅広い層に購入されるように,小型軽量化をめざしていったように見える。たとえば初期のキヤノネットやミノルタ・ハイマチックなどと,コニカC35シリーズやフジカGERなどの大きさは,あらためて比較するまでもなくその差は一目瞭然である。
 オリンパスXAは,二重像合致式距離計内蔵レンズシャッターカメラが小型化をめざして行き着いた姿であろう。もともとオリンパス35シリーズもコンパクトさをアピールポイントにしていたカメラだが,「オリンパスXA」はそれをさらに追求した,究極のコンパクトカメラであるといいたい。「オリンパスXA」以後も,「CONTAX T」や「秋月」など,二重像合致式距離計を内蔵したレンズシャッターカメラが散発的に登場するが,「オリンパスXA」の存在意義は決して揺るがない。
 1975年の「ピッカリコニカ」や1977年の「ジャスピンコニカ」以後,二重像合致式距離計を内蔵したカメラのラインアップは急速に少なくなっていく。オリンパスXAシリーズでは,その流れのなかで,仕様が簡略化された低価格の「オリンパスXA2」がよく売れるようになったものと思われる。