マミヤ

ファミリー

Mamiya / Family

 昭和30年代後半に,短いブームとなったレンズシャッター式一眼レフの1つ。このカメラは,昭和37年発売で,当時16,800円だった。レンズ交換はできないが,自動絞りとクイックリターンミラーを実現している。レンズシャッターで,これらの機能を実現するために,次のような動作を短時間でおこなっている。
 シャッターを閉じる
   ↓
 絞りを絞る
   ↓
 ミラーが上がる
   ↓
 設定した時間だけシャッターが開いて閉じる
   ↓
 ミラーが降りる
   ↓
 絞りを開く
   ↓
 シャッターを開く
 シャッター速度が1/15秒から1/250秒までしかないこと,外光式ながら露出計を内蔵していること,またレンズの最短撮影距離が1mであることなど,無理に高機能を目指さず,価格を抑えようとしているように思われる。カメラの名称のように,ファミリーユースを意識したものであろう。また,X接点と,絞りのプレビュー機構をきちんとそなえている。取扱説明書によれば,レンズの焦点距離を65mmに伸ばすコンバージョンレンズが用意されていたようだ。

 レンズシャッター式の一眼レフが登場した背景には,どのようなものがあったのであろうか。想像してみると,カメラの主流が,透視ファインダー式から一眼レフ式に変わっていくなかで,フォーカルプレンシャッターの開発に遅れたメーカーが,既存のレンズシャッターを利用して製造したことが考えられる。あるいは,既存の部品を組み合わせて製造できることから,外注で製造し,安く供給することを目指したことも想像できる。もっと積極的に考えれば,フラッシュ撮影の同調速度が,レンズシャッター式の方が有利であることも,考えられる。いくつかのメリットが考えられるものの,どちらかというと廉価版として作られたカメラが多かったように思われる。また,レンズ交換に対応していない製品も多かったことから,レンズシャッター式一眼レフが主流になることはなかったのだろう。
 このカメラは,レンズシャッター式ながら,自動絞りもクイックリターンミラーも実現されており,レンズシャッター式一眼レフとしては完成されたモデルであると言うこともできるだろう。それまでのコンタフレックスベッサマチックなどのレンズシャッター式一眼レフにくらべると,動作もなめらかで,壊れそうには思えない(実際はどうだかわからない)。実際に使ってみると,その使いごこちは悪くない。さほどコンパクトでもないし,軽いわけでもない。露出計は内蔵されているが,ファインダー内で値を確認できるわけでもない。自動絞りとクイックリターンミラーの実現は,ほかのどんな機能にも増して,一眼レフカメラを使いやすくすることができる「偉大なる発明」と考えていいだろう。

Mamiya Family, No.4085254
シャッター機械制御レンズシャッター
シャッター速度B, 1/15〜1/250スピードライト同調全速,X
露出計外光式セレンメーター露出モードマニュアル
レンズMAMIYA-SEKOR 48mm F2.8
発売1962年