シグマ

XQ ハイスピードズーム 80-200mm F3.5

SIGMA / XQ HIGH-SPEED ZOOM 80-200mm F3.5 (for M42)

 ズームレンズが発売された初期のころから,望遠ズームレンズというものの焦点距離は80mm〜200mm前後のものが一般的であった。その性能は次第に向上し,1980年代前半には焦点距離全域でF2.8というズームレンズとして明るいものも,一般的になってきた。
 このレンズは,「ハイスピードズーム」を名乗っている。このレンズが発売された1970年代半ばであれば,ズーム全域でF3.5というのは,「明るい」ことを強くアピールできる性能であった。たとえばニコンから発売されていた80-200mmクラスのズームレンズでは,F2.8のAi Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8Sが発売されたのは1982年末のことであり,1970年代に発売されていたレンズはF4.5のNew Zoom Nikkor 80-200mm F4.5 (1976年発売)だったのである。F3.5というのはF2.8にくらべて2/3段程度暗いだけであり,F4.5くらべると2/3段は明るいのである。

 日本カメラショー「カメラ総合カタログ」に「シグマ」があらわれたのは,1973年版からである。このときのラインアップには,すでに「80-200mm F3.5」というレンズがあった。ただし,vol.46 (1973年3月)では価格が空欄であり,vol.48 (1973年10月)では「42,000円」という価格がはいっているので,この間に正式に発売されたものと思われる。このとき,80-200mmクラスのズームレンズの大半はF4.5クラスのものであり,F3.5のものはシグマのほかにはタムロンとコニカがラインアップさせているくらいであった。
 シグマの80-200mm F3.5レンズは,日本カメラショー「カメラ総合カタログ」の1975年版ではモデルチェンジされ,「XQ」という名称が加わるようになっている。XQの80-200mm F3.5は1977年版まで掲載され,1978年版ではモデルチェンジされている。
 XQ 80-200mm F3.5の最短撮影距離は1.8mであるが,マクロ機構により1/3倍までの撮影ができるようになっている。
 入手したレンズは,M42マウントがついていた。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」vol,54 (1975年)では,XQシリーズは「総ての一眼レフに完全連動するアダプターシステム」を特徴としており,「ペンタES,オリンパスOM1,キヤノンEF,コニカT3,ニコン,ミノルタ,ペトリ,エキザクタ」が5,000円と記されている。

SIGMA-XQ HIGH-SPEED ZOOM 80-200mm F3.5 (for M42) No.
焦点距離80-200mm 口径比3.5
レンズ構成10群14 枚
最短撮影距離1.8m,1:3までの接写が可能。
マウントM42
発売1975年ころ


Nikon D300, SIGMA-XQ HIGH-SPEED ZOOM 80-200mm F3.5

 イレギュラーな使い方ではあるが,M42→Fのマウントアダプタを使用して,Nikon D300に装着して撮影した。
 レンズにカビが生じているジャンク品であるためか,ほどよくフレアが発生し,葉の緑がとても鮮やかで印象的に写ってくれた。このような描写もおもしろいし悪くはないが,これは,このレンズの実力ではないと思う。