京セラ

AF コンバータ 1.6x

KYOCERA / AF converter 1.6x

 ヤシカが京セラに吸収された後に,京セラが発売していたライカ判一眼レフカメラのシステムは,3種類あった。
 1つは,ヤシカ時代に発売されたシステムで,ドイツのカール・ツァイスの銘をもつレンズ群を備えたシステムである。YASHICA銘のボディとレンズ,CONTAX銘(Contaxではない)のボディ(CONTAX RTSなど)とCarl Zeiss銘のレンズが用意されていた。このシステムやレンズマウントには,「ヤシカがつくったコンタックス」という意味合いからか,「ヤシコン」とよばれることがある。
 2つめは,京セラになってから発売された,オートフォーカスの一眼レフカメラシステムである。初期のKYOCERA 230-AF210-AF,200-AFには「Let'sシリーズ」という愛称が与えられていたが,その後の270AFや300AFに対しては「Let'sシリーズ」という愛称が使われていない。
 3つめのシステムとしてその後,一眼レフカメラのデジタル化を見越したかのような,CONTAX Nシステムが発売されている。
 これら3つのシステムでは,それぞれ異なるレンズマウントが採用されており,レンズとボディに直接の互換性はない。

 KYOCERA AF Converter 1.6xは,京セラのオートフォーカス一眼レフカメラとしてさいしょの機種である,KYOCERA 230-AFと同時期に発売された。それ以前に発売されていた,「ヤシコン」用のマニュアルフォーカスレンズと組みあわせると,京セラのオートフォーカス一眼レフカメラでオートフォーカス撮影ができるようになるとともに,焦点距離が1.6倍になるテレコンバータとなる。ニコンが発売した,AF Tele-converter TC-16ASと同じようなはたらきをするが,ニコンの場合はマニュアルフォーカス用レンズもオートフォーカス用レンズもレンズマウントが共通であるという点が異なる。したがって,KYOCERA AF Converter 1.6xは,つぎの3つの役割をもっていることになる。
・マニュアルフォーカス用レンズで,オートフォーカス撮影ができるようになる。
・焦点距離が1.6倍になる。
・「ヤシコン」マウントのレンズを,「京セラAFマウント」に変換する。

KYOCERA AF converter 1.6x, No.F0005683
レンズ構成5群6枚
マウントヤシカMLマウントレンズを京セラAFマウントに変換する。
発売1986年

KYOCERA 230 AF, Tessar T* 45mm F2.8, AF Converter x1.6, Konica 100

 まがりなりにも,カール・ツァイス銘のレンズをオートフォーカス撮影に使えるわけだが,少なくともTessar T* 45mm F2.8との組みあわせでは,たいして寄れるわけでもない中望遠レンズということで,あまり使い勝手をよく感じないのであった。また,マウントが異なるので,あくまでもテレコンバータを使った72mmレンズとしてしか使えない(45mmレンズとしては装着できず,使えない)ので,便利さもまったく感じられない。