ヤシカ

コンタックスRTS

YASHICA / CONTAX RTS

 かつて,「Leica(ライカ)」と双璧をなす「Contax(コンタックス)」という高級小型カメラがあった。それを製造していたツァイス・イコンは,第二次世界大戦後,ドイツ国家とともに東西に分裂した。その後,東ドイツで「Contax S」という名前の一眼レフカメラが登場する。西ドイツでも,いくつかの名称でツァイス・イコンによる一眼レフカメラが発売されるが,ニコン様をはじめとする日本製カメラに対抗できず,1971年を最後に,一般用カメラの製造からは撤退してしまった。
 1975年になって,日本のヤシカ,カール・ツァイス財団,ポルシェ・デザインの共同開発による,新しい「CONTAX(コンタックス)」が登場した。名称のRTSは,「リアルタイムシステム」の意味をもち,AEや電子レリーズを中心に,時間的にストレスのない撮影ができることをめざしたものである。
 右手側前面のボタンを押している間だけONになる露出計や,巻き戻しクランクのまわりに設けられたシャッター速度ダイアルなど,一般的な配置とはやや異なる操作系は,慣れないうちは違和感が強い。しかし,このカメラはAEで使うことを主に想定されているものと考えれば,すべてがむしろ合理的にさえ思えてくる。全体によくつくりこまれた,独創的なカメラと言えるだろう。故障しやすいという風評をよく耳にするのが,少し気がかりではあるが。

CONTAX RTS, No.059165
シャッター電子制御横走り布幕
シャッター速度B,4〜1/2000スピードライト同調1/60sec,X
露出計TTL中央重点測光露出モード絞り優先AE,マニュアル
マウントヤシカMLマウント
発売1975年

 名称のRTSは「リアルタイムシステム」の意味をもち,それを強化させるオプション品として,当然のようにワインダー(REAL TIME WINDER)が用意されている。