シグマ

SA-7N

SIGMA / SA-7N

 シグマがさいごに発売した,フィルムで撮るカメラである。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」では,vol.120 (2004年)とvol.121 (2005年)に掲載がある。vol.119 (2003年)には前モデルのSIGMA SA-7と上位モデルSIGMA SA-9およびディジタル一眼レフカメラSIGMA SD-9の掲載があり,CIPA「カメラ映像機器総合カタログ」vol.122 (2006年)ではディジタル一眼レフカメラSIGMA SD-10が掲載されているのみで,フィルムで撮るカメラの掲載はなくなっている。

 ボディのメーカー希望小売価格は,50,000円(「カメラ総合カタログ」vol.120,クォーツデートモデルは55,000円)であり,他社のエントリークラスのモデルと競合できそうな価格設定になっている(例 Nikon U:61,000円,Nikon Us:50,000円,PENTAX MZ-60:45,000円など)。機能は充実しており,マルチモードAE,シャッター速度1/2000秒〜30秒,2秒と10秒のセルフタイマーのほか,他社の中級機やエントリーモデルにはあまり例のない,ミラーアップ機構も用意されている。
 カメラ上面右側のダイアルでシャッター速度を選択し,シャッターレリーズボタン周囲のダイアルで絞りを選択する。露出モードは,シャッター速度ダイアル周囲のレバーで選択するようになっている。そのほかの機能は,カメラ上面左側のダイアルで選択し,FUNCキーを押しながらシャッターレリーズ周囲のダイアルで設定するようになっている。よく使う機能と,あまり使わないと思われる機能がうまく振り分けられており,使いやすいと感じる。

 問題点として,ファインダーがあげられる。ペンタ部を構成するミラーが変質しやすいようで,ファインダー内が赤く色づいて見える症状が,頻発しているようだ。この点を除けば,軽くて使い心地も悪くないと思われるだけに,残念なことである。
 レンズマウントは,独自のシグマSAマウントである。Kマウントと似ているとする記事を見かけることもあるが,実際にはまったく異なるもので,Kマウントのレンズをはめ込むことはまったくできない。ただし,ペンタックス純正の,KマウントボディにM42マウントレンズを装着するアダプタは,たまたまうまくはまってくれる。フランジバックはかわらないようなので,これを利用すればM42マウントレンズを絞り優先AEで利用できそうである。ただし,入手しているカメラはファインダーが残念な状態になっているので,実写での確認はしていない。
 シグマSAマウントのために,魅力あるシグマのレンズがいろいろ使えるが,シグマ以外が発売するレンズは使えない。ニコンやキヤノンなどのカメラであれば,それぞれニコンやキヤノンのレンズのほかに,シグマのレンズを選択できるが,SIGMA SA-7Nにはそのような選択肢はない。シグマが,魅力あるレンズをシグマSAマウントだけで発売すれば,レンズの面からもこのカメラに魅力が生じることになるが,シグマとしては自信のあるレンズを,ニコンやキヤノン用としても発売したいと考えることだろう。
 結論として,バランスのよい使いやすいカメラであるとは思うが,どうしてもこのカメラを使いたいという強い魅力が不足しているといえるだろう。

SIGMA SA-7N, No.1035273
シャッター電子制御縦走り金属羽根
シャッター速度B, 30sec〜1/2000sec
フラッシュ同調X接点 1/90sec
露出モードプログラムAE,シャッター速度優先AE,絞り優先AE,マニュアル
マウントシグマSAマウント(外爪あり)
電源CR2リチウム電池2個
発売2004年ころ

 シグマSAマウントは,内側と外側にそれぞれ爪がある構造になっていた。外側の爪を利用すれば,他社にはない大口径レンズが実現される可能性が期待されていたが,結局,外側の爪を使用するレンズは発売されなかった。また,のちのディジタル一眼レフカメラでは,外側の爪が廃止されている。