第1展示室

フィルムホルダ,取り枠

film holder

フィルムの登場まで

 最初期の写真は,感光性をもたせた銀板に像が固定されるものが主流であった。これはポジ画像が得られるもので,かつ,プリントができないため,撮影した写真はそれ1枚しか存在しないことになる。その後,ガラス板に感光材を塗った湿板が登場。これ以後のものはネガ画像が得られ,プリントで大量に複製をつくることができるようになる。1870年代に登場した乾板からは,工場で大量生産が可能なものになり,ここから写真の普及が本格化したといえるだろう。さらに20世紀になるとセルロース製のフィルムが登場。ガラスの乾板にくらべて軽量で,ロール状にすることもでき,カメラがいっそう身近なものになったのである。

シートフィルム

 小型カメラ用のフィルムとして,ロールフィルムが普及していった。とくに,ライカやレチナなどで使われるパトローネ入り35mmフィルム(135フィルム)や,ローライフレックスなどで使われる120フィルムは,現在でもよく使われている。
 一方,大判写真の分野では,平面性の問題からもロールフィルムは有利ではない。乾板にかわって,シート状のフィルムも使われるようになった。乾板用のホルダ(取り枠)に,シースとよばれる部品を使って,シートフィルムを使うこともできるようになっていた。


LISCO

リスコ カットフィルムホルダ

 4×5判用のフィルムホルダとして,ポピュラーなもの。引き蓋を抜いて撮影後,引き蓋を裏返して挿入しておくと,色が黒になるので撮影済みのフィルムであることがわかる。引き蓋が不用意に抜けないよう,ストッパーもついている。


LISCO

リスコ・リーガルII (Lisco Legal II)

 4×5判用のフィルムホルダとして,ポピュラーなもの。引き蓋の取っ手の部分がプラスチックになっている。


(unknown)

カビネ判用取り枠

 カビネ判乾板用の取り枠。木製の引き蓋は,完全には引き抜けない。リスコ・リーガルのように,撮影済みのカットであることを示すような工夫はないようだ。このサイズのフィルムは入手できないので,印画紙で代用することになるが,カビネ判の印画紙(120mm×165mm)はシースに入らないので2mmほどカットする必要がある。かつて富士フイルムから発売されていた,カビネ判のネオパンSSのサイズは,118mm×163mmであった。


(unknown)

八切判用取り枠

 八切判乾板用の取り枠。右の画像は,フジフイルム製のシース。現在,このサイズのフィルムは入手できないため,どうしてもこのサイズで撮影するとなれば164mm×214mm(このシースで実測)の印画紙で代用することになる。


(unknown)

四切1/2判用取り枠

 四切1/2判乾板用の取り枠。このサイズのフィルムは入手できないため,どうしてもこのサイズで撮影するとなれば四切印画紙を約半分(152mm×252mm,この取り枠で実測)にカットしたもので代用することになる。このサイズは,ライカ判よりも長細いので,「ややパノラマ」的な画像になり,おもしろい。